Outstanding Space Optics
Created by GENESIA Corp.

2019年台風9号(Lekima):東京工業大学(現:東京科学大学)「DLAS」から撮影

2019年台風9号(Lekima):東京工業大学(現:東京科学大学)「DLAS」から撮影

宇宙科学・工学ミッションを
実現するジェネシアの光学プロダクト

人工衛星や探査機に搭載された製品の例

ASTRO-F/AKARIの画像
ASTRO-F/AKARIの画像

ASTRO-F/AKARI

Hodoyoshi-1の画像
Hodoyoshi-1の画像

Hodoyoshi-1

SOLAR-B/HINODEの画像
SOLAR-B/HINODEの画像

SOLAR-B/HINODE

RISING-2の画像
RISING-2の画像

RISING-2

CIBER-1の画像
CIBER-1の画像

CIBER-1

HAYABUSA-2 NIRS3の画像
HAYABUSA-2 NIRS3の画像

HAYABUSA-2 NIRS3

ISS-IMAPの画像
ISS-IMAPの画像

ISS-IMAP

CLASPの画像
CLASPの画像

CLASP

搭載衛星名(打ち上げ時期)

深紫外から可視そして熱赤外まで、広い波長領域にわたって観測装置の開発を行っています。
そこで蓄積した技術は、地上で使われる民生光学製品の量産提供にも展開しています。

ジェネシアが考える、
【目指すべき宇宙産業】の姿。

 従来の概念によれば、宇宙産業といえば専ら 「宇宙機器産業」 のことを指していました。 一方現代では、地上に住まう人々の安寧な生活を支え、あるいはビジネスを興隆させるための手段として、 宇宙機器産業を活用するという発想の転換が求められており、この点に着目した「宇宙利用産業」を意識することが 肝要であると考えられます。横軸に宇宙機器産業が生み出す社会的付加価値を取り、 縦軸に地上で発展する各産業セクタが元来有する付加価値をとったとき、 その交点には必ずや新しい産業が導かれます。 私たちは、宇宙機器産業と宇宙利用産業の総体からなる「宇宙産業」を 新たな存在価値として見つめて、これを創出・発展させ得る、テンプレートを具体的に提示しようとしています。

宇宙産業の図

 その 「宇宙産業」を充実たらしめるには、その価値創出と消費の場である「地表面における人の営み」に極力近づいたミクロな視点と、 地球全体を俯瞰するマクロな視点との統合を推進する必要があります。そのためには、宇宙軌道上の衛星コンステレーションのみならず、 軌道高度方向のプラットフォームを連成させた、高度方向コンステレーションを構築し、 そこに我が国が世界をリードする新技術を導入、これを活用する理学的アイデアを社会実装しながら「人の営み」から生まれる市場要求に 応えられる経済価値循環の仕組みを構築する必要があります。

プラットフォーム特徴
(小型)衛星 広域観測に適する
対地速度は高速
HAPS 定点観測可能で
高い空間分解能と
高い時間分解能を両立可
ドローン さらに精緻な空間分解能
短時間計測、低コスト

これらの組み合わせが、赤外観測データをベースとする
新領域のビジネス創出や、安保ニーズを支えていく

高度方向コンステレーションの図

宇宙機器産業は、「地上に住まう人々の安全が保障され、安寧に経済を循環」させるための「裏舞台的な基礎基盤」ではありますが、 現実に人々が生み出す経済価値は、宇宙軌道そのものではなく、あくまでも「表舞台としての地上」で生じ、消費されるものです。 しかし現状において宇宙産業は、基礎基盤と価値創出・消費の循環および価値の分かち合いにおいて改善の余地があります。ビジネスの起点となる “末端” の組織は 資本の力においては弱く、フェアな利益分配・循環が途絶えると末端から損壊し、市場開拓力は簡単に失われてしまいます。私たちが目指すのは末端まで健全で成長力のある 持続的な社会の実現です。

経済循環の図

技術提案例

超小型衛星への搭載に適した高機能宇宙カメラ

超小型衛星に搭載して地球観測に供する可視・近赤外望遠鏡について、
“ 5つの分解能 ” のすべてを網羅的に達成しようというトレンドが強まってきています。

5つの分解能:
空間分解能 …
どんなに細かな地表構造まで分離・認識できるか
高さ分解能 …
どんなにわずかな高さの差まで、分離・認識できるか
波長分解能 …
どんなにわずかな色みまで分解できるか(波長弁別性)
輝度分解能 …
どんなにわずかな明るさの差まで弁別できるか
時間分解能 …
どんなに頻回に観測を繰り返すことができるか

これらを踏まえ、従来比でコンパクトかつ軽量、大きな画像メモリを具備しながら低消費電力を特徴とする装置として取りまとめ、 かつ軌道上エッジコンピューティング(AI含む)まで実施した宇宙望遠鏡を実現しようという試みがますます盛んになっています。

ただし、上記5つの分解能を同時に満たすことは一般論として困難です。
このため、現状では複数の衛星バスにそれぞれ特徴を持った機能を実装し、それらを軌道上で複合的に組み合わせる、いわゆるコンステレーション配置が検討されています。

ジェネシアはとくに空間分解能、波長分解能、輝度分解能に着目した撮像システムの実現に力をいれています(時間分解能は、原理的に宇宙軌道上に配置される衛星機体数に依存)。

キューブサット向けのカメラ設計例

  • 3U CubeSat 向け
    3U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:1U サイズ
    波長:0.48 - 0.62μm(可視パンクロ)
    GSD:6.5m,    刈幅:21km(@軌道高度500km)

  • 6U CubeSat 向け
    6U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:2Uサイズ
    波長:0.9 - 1.7μm(赤外パンクロ)
    GSD:15.4m,    刈幅:10km(@軌道高度500km)

  • 9U-12U CubeSat 向け
    9U-12U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:3Uサイズ
    波長:0.45 - 0.80μm(可視/赤外 パンクロ)
    GSD:3 - 5 m,    刈幅:5 - 8.5 km (@軌道高度500km)
    (GSDと刈幅は用途により最適化可能)

  • 12U – 16U CubeSat 向け
    12U – 16U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:4Uサイズ
    波長:0.45 - 1.0μm
    LCTF:Liquid Crystal Tunable Filter を使えば軌道上で波長選択可能)
    GSD:3 - 5m,     刈幅:5 - 8.5km (@軌道高度500km)
    (GSDと刈幅は用途により最適化可能)

    12U – 16U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:4Uサイズ
    波長:0.45 - 1.0μmのうちの4バンド
    GSD:3 - 5m,     刈幅:5 - 8.5km (GSDと刈幅は用途により最適化可能)

    12U – 16U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:4Uサイズ

    12U – 16U CubeSat 向けの画像

    カメラ包絡域:4Uサイズ

  • 多色バンド観測をキューブサットで
    実現するためのコンセプト例
    多色バンド観測をキューブサットで実現するためのコンセプト例の画像

    カメラ包絡域:4Uサイズ
    波長:0.40 – 1.6μm
    LCTF:Liquid Crystal Tunable Filterを使うことで軌道上で波長選択可能)
    GSD:59m, 刈幅:97km (@軌道高度500km)

    多色バンド観測をキューブサットで実現するためのコンセプト例の画像

    カメラ包絡域:9Uサイズ
    波長:0.40 – 1.6μm
    LCTF:Liquid Crystal Tunable Filterを使うことで軌道上で波長選択可能)
    GSD:30m, 刈幅:185km (@軌道高度500km)

ディストーションフリー
SWIR帯域用広角レンズ (ドローン搭載用)

イメージ画像

波長 1.25 - 2.5μm 帯における、赤外多波長イメージングに供する光学設計例です。
LCTF:Liquid Crystal Tunable Filter 等の波長チューナブルフィルタとも組み合わせられます。

本光学系は衛星搭載を前提としているというよりも、むしろドローン搭載を前提としています。
衛星との組み合わせとしては、”軌道面内コンステレーション用” ではなく、”軌道高度方向のコンステレーション” を目論んだ設計です。

全角は80°。歪曲収差量は前提とする赤外検出器(画素ピッチが 15μm VGA)において最大でも1.5画素相当。パーセント・ディストーションで表現して ±0.5%に抑制。こうすることで、複数のドローン画像をパッチ合成する際の “のりしろ” を最小化でき、ドローン撮像の効率を向上させられます。

所望の波長全域に渡る共通像面に対して視野端においてもパンクロマチックなMTFを30%確保できます。

本設計はドローンによる近赤外波長域の撮像分野全般に適用できます。
スナップショット型の多波長イメージング(最大512バンド)にも好適です。

分光撮像システム LCTF:
Liquid Crystal Tunable Filter

LCTFカメラ外観画像
LCTFセル外観画像

宇宙利用品位のLCTF

LCTF:Liquid Crystal Tunable Filter は、これを構成する複数枚の液晶セルのそれぞれに定められた電圧を加えることで、所望の透過波長を得ることのできる光学分光デバイス。波長選択のために一切の機械的仕組みを必要としません。

  • 軌道上での実績が多数ある分光デバイス LCTF
    LCTF透過プロファイル例

    透過プロファイル例

    LCTFは、液晶セル、偏光板、波長板からなるユニットを、幾重にも積み重ねた構造を持っています。

    各ユニットそれぞれの透過率特性は、波長に対して周期的に変化します。各ユニットを透過する波長は印加する電圧で変えることができ、各ユニットを組み合わせたLCTF全体の透過率特性は、各ユニットの透過率特性の積として得られ、狭半値幅バンドパス特性を示します。

    液晶セルへの印加電圧を制御することで、LCTFの透過中心波長を任意に制御することができます。

    LCTFは、これをレンズ光路に挿入することで多数バンドを活用した柔軟な分光観測が可能となることから装置の小型化、軽量化が容易です。

    分光観測時に透過バンド幅が適切でないと広い吸収帯をカバーできなかったり、逆に複数の輝線・吸収線の分離ができなかったりします。あるいはバンド幅が狭すぎると光量不足となり、S/N比が十分に得られない、といった不都合も生じ得ます。ジェネシアでは現在、研究教育機関との連携によりLCTFを構成する部材の組み合わせや電気的な制御を工夫することで、透過中心波長のみならず、透過バンド幅も制御可能とする新タイプのLCTFの開発にも取り組んでいます。これによれば、観測対象物に適合する最適な透過バンド幅、透過波長を宇宙軌道上でソフトウェアにより自由に選択できるようになります。

    LCTFはこれが米国で初めて開発されて以来30年以上が経過していますが、国際的にも普及が進んでいるとは言い難い状況です。その最も大きな理由の一つとして、LCTFを通過する光の透過波長がフィルタに入射する光線の傾角に依存することを挙げられます。垂直入射においてはもっとも長波長であり、斜入射であるほど透過波長は短波長側にシフトします。この課題についてジェネシアでは、特別なレンズ光学配置を用いることで当該の悪影響を回避し、視野全面に渡って均一の波長で撮像することができるように整えました。特許取得済のこの技術により、世界的にもジェネシアのみがLCTFを使ったスナップショットセンサを提供できます。

    LCTF分光撮像システムは2014年以来、10機種以上が宇宙軌道上で運用されています。
    LCTF分光撮像システムには、ドローンへの搭載に特化したシリーズも用意されています。

    LCTFで撮影した画像例

    軌道上からLCTF分光撮像システムにより撮影した画像

    KURIHARA et.al., “A High Spatial Resolution Multispectral Sensor on the RISESAT Microsatellite”,
    Trans. JSASS Aerospace Tech. Japan Vol. 18, No. 5, pp. 186-191, 2020.

分光撮像システム LVF:Linear Variable Filter

イメージ画像

LVF:Linear Variable Filter は、バンドパスフィルタの一種。しかしフィルタの全面に渡って同一の波長透過特性を呈するものではありません。
LVFはフィルタの一辺に沿って透過波長が変わるように構成されています。そのため、光学系と組み合わせてこの方向に像スキャンをかければ、結果として観測物体面の各位置のスペクトルを得られるということになります。この意味において、LVFによる分光撮像は、スリット分光と同様のプッシュブルーム型に分類されるものといえます。ただし、スリット分光の場合にはあくまでも1次元化された物体の像のみを波長分散させるのに対し、LVFでは、すこしずつ波長シフトがかけられた “連続した単色スリット像の列” が2次元スナップショット状に与えられます。それゆえ、仮にLVFを搭載した衛星の姿勢安定性が十分でなかったとしても、連続する各瞬時像の形状的特徴を踏まえたパターン整合を行うことで、それを補償できます。

  • 検出器に分光機能を直接、
    実装する新時代の分光イメージング
    検出器に分光機能を直接、実装する新時代の分光イメージングの画像

    LVFタイプのハイパーセンサ(多波長分光センサ)は、他の一般の分光デバイス(グレーティングやプリズム、バンドパスフィルタ、ファブリペロなど)とは異なり、分光デバイス挿入のために光学光路をコリメートする必要がなく、通常の撮像光学系とエリアセンサからなるカメラ構成にLVFセンサを組み合わせるだけで済みます。このようにして構築されるセンサは、従来技術であるグレーティングセンサと比較して、観測に用いることのできる赤外光の利用率を1.5倍から2倍以上も向上させることもできます。この点においても光学系の小型化に有利であり、可視域のみならずとりわけ小型衛星に搭載するセンサ候補として非常に有望であると言えます。現在ジェネシアでは、その赤外版を開発中。

    LVF型のハイパーセンサをプッシュブーム運用すれば、光利用効率の悪い回折デバイス等に頼ることなく、関心のある波長帯についてストレージする地球観測装置を開発できます。

    透過率が高く、高いS/N比を容易に得られるLVFを採用した多波長赤外線センサは、比較的ブロードな吸収帯域幅を持つ鉱物資源探査や、放射輝度の低い海色が特徴となっている海洋資源開発などへの応用が期待されています。

開発・実装実績

宇宙軌道から地表を観測するための高空間分解・屈折望遠鏡

地球観測衛星「ほどよし1号」搭載カメラ

地球観測衛星「ほどよし1号」搭載カメラ
地球観測衛星「ほどよし1号」搭載カメラ

口径107mm, 焦点距離750mm。
屈折型でありながら、同一像面において可視波長域全域で回折限界性能を達成した超色消し光学系。

  • 開発の背景、課題

    概50cm立方サイズの衛星(概50kg)に搭載して、光学分解能が 5mよりも良好な自動運用に適した宇宙望遠鏡を開発・実証しようとしたもの。

    打ち上げ振動耐性や、軌道上の宇宙放射線耐性を考慮することはもちろんのこと、色収差を事実上ゼロとみなせ、 かつ軌道上の環境変動によらずピント位置を変動させない技術(アサーマル・アポクロマティック)の開発が必要でした。

  • 特徴

    環境温度変動によるレンズ形状の変形、屈折率の変化、鏡筒の膨張や収縮の影響を連成させることで、 常に光検出器上にピントを合わせ続けることのできる、“アサーマル型” の特性を有しています。
    そのため軌道上で、望遠鏡の合焦調整をする必要がありません。
    この特徴は、衛星観測システムの自動運用の実現に、大きく貢献するものとなりました。

宇宙軌道から地表を観測するための高空間分解・反射屈折望遠鏡

JAXA超低高度衛星「つばめ」搭載 SHIROP

宇宙軌道から地表を観測するための高空間分解・反射屈折望遠鏡の画像
宇宙軌道から地表を観測するための高空間分解・反射屈折望遠鏡の画像

出典:JAXA

光学、構造、熱、検出器の電子制御および衛星の姿勢制御技術を連成させることで、小型望遠鏡であっても、 超低軌道(軌道高度300km程度)より地上分解能100cm - 40cmで地球観測が可能であることを実証。

  • 開発の背景、課題

    たとえ望遠鏡が小さくとも、衛星の軌道高度が低ければ、地表の微細な構造を観測できると期待できます。
    一方で、軌道高度が低い場合には、衛星の軌道上の運動速度が速いことと相まって、像ブレが生じやすく、 せっかくの高精細性が損なわれます。また、超低高度(300km程度)を飛行する望遠鏡には、通常の望遠鏡に求められる物理的な工夫の他、 高層大気環境における活性酸素原子に対する化学的に特別な工夫が求められます。これらについて配慮した望遠鏡の開発が必要でした。

  • 特徴
    • ・口径20cm、エリア型センサを採用。
    • ・主・副鏡からなる反射望遠鏡部に、像面の平坦性を補償するための屈折レンズ系を組み合わせています。
      色収差の影響は極めて軽微で事実上、純反射系と同等とみなせます。
    • ・環境温度が変化してもピント位置の変動が生じないアサーマル特性を有しているため合焦機構を省略できています。
    • ・衛星の軌道上運動に同期してCCD上の電荷を転送させることにより像ブレを補償する技術、いわゆるTDI(Time Delay Integration)をエリアセンサに適用しました。地上の観測物が斜入射照明であっても高いS/Nでスナップショット撮像が可能です。
    • ・通常のLEO軌道(Low Earth Orbit、550km程度) における原子状酸素の密度と比較して1000 倍程度となる超低高度軌道特有の高酸化環境においても装置性能を劣化させないための特別な技術が導入されています。

小惑星表面の鉱物探査用カメラ

小惑星探査機「はやぶさ2」搭載 NIRS3

宇宙軌道から地表を観測するための高空間分解・反射屈折望遠鏡の画像

小惑星“りゅうぐう”の含水鉱物、炭素化合物の分布を計測
出典:JAXA

特異小惑星 “リュウグウ” を周回しながら、その表面組成を分析するために開発された「近赤外分光カメラ」。 ジェネシアはその光学系を担当し、含水鉱物の表面分布の特定に貢献。小惑星のサンプル回収地点(着陸地点)の決定に根拠を提供できました。

  • 開発の背景、課題

    地球人類の起源はどこにあるのか。
    このことについて、太陽系外から持ち込まれた炭素化合物や、含水鉱物との関係が議論されています。
    地球の公転軌道付近まで近接する特異な小惑星からサンプルを回収する探査計画「はやぶさ2 プロジェクト」において、探査機がタッチダウンすべき場所を特定するプロセスは、計画遂行のための重要事案でした。

  • 特徴
    • ・SWIR(Short Wave InfraRed域:波長1 - 3.5μm)を対象とした分光カメラ。
    • ・装置のコンパクト化のために、分散素子として、透過型のグレーティングを採用しました。
    • ・装置由来の熱背景ノイズを抑制するため、低温環境(190K)で動作するように設計・製造されています。

太陽観測衛星の
コリメータレンズ

JAXA/国立天文台によるHINODE (SOLAR-B)用 望遠鏡コリメータ

太陽観測衛星衛星のコリメータレンズの画像
太陽観測衛星衛星のコリメータレンズの画像

出典:国立天文台

口径50cmの日本製の太陽望遠鏡と、後段の米国製分光観測システムとを結合するコリメータレンズ。 望遠鏡と分光システムをこのコリメータでインターフェースすることで、両者の結合度を低減することができ、安定した宇宙観測系を構築できています。

  • 開発の背景、課題

    太陽表面の温度が 6000℃でありながら、その上層大気の温度が100万℃を超える理由は、太陽物理学の長年の謎とされてきました。それを解き明かすために開発された太陽望遠鏡の性能が最大限に発揮されるためには、コリメータレンズによる宇宙観測システムの統合が不可欠でした。

  • 特徴

    波長450nm - 900nm までの広い波長帯域にわたり、6色波長色消しを実現した超色消し光学系。
    温度収差(アサーマル)特性は、単位焦点距離に対して 1e-6乗オーダー/K と僅少。

超小型衛星搭載用の波長可変型
フィルタ搭載、分光望遠鏡

超小型地球観測衛星「RISING-2」搭載 HPT

太陽観測衛星衛星のコリメータレンズの画像
太陽観測衛星衛星のコリメータレンズの画像

出典:北海道大学

口径100mmの反射型の宇宙望遠鏡。
焦点面は、3つの光路に分岐しています。そのうちのひとつの光路には、機械的な駆動部がなく、電子的な制御により透過波長をチューニングできる分光フィルタ(LCTF:Liquid Crystal Tunable Filter)が搭載されています。

  • 開発の背景、課題

    農学、海洋科学、その他の分野における科学的成果をコンパクトかつ効率的に実現するシステムの開発が求められました。

    50kg級衛星に適合し、高い空間分解能と波長分解能を両立するスナップショットセンサは、衛星に対する姿勢安定要求の緩和にも有利に働きます。

  • 特徴

    地上分解能 5m で多波長イメージングに成功しました。
    狭帯域バンド数が 400を超える分光イメージセンサは、他に類を見ません。

超小型衛星搭載用の波長可変型
フィルタ搭載、分光偏光望遠鏡

Micro Dragon / TPI

MicroDragonの望遠鏡外観

電磁波としての光の特性は、振幅・波長・位相によって表現されます。
これらを同時に計測することを目指した、超小型衛星搭載用の観測システムです。

  • 開発の背景、課題

    観測の対象となる地球表面には大別して、陸域、海域があり、それぞれ太陽光に対する反射率、その波長依存性が、反射光の偏光成分に対応して見いだされます。このことについて精緻に観測することで、観測対象物の性状を細やかに特定できるようになります。本機は、このことの実証をするために開発されました。

  • 特徴

    特性の揃った分光カメラを、検知偏光方位を120°対称をなるように3台配置。
    これを一組として同時撮像できるように構成した分光偏光望遠鏡です。

衛星バスの姿勢決定および
航法用光学系

超小型衛星用スタートラッカー(STT)
シリーズ

衛星バスの姿勢決定および航法用光学系の画像衛星バスの姿勢決定および航法用光学系の画像
衛星バスの姿勢決定および航法用光学系の画像

姿勢決定精度の評価結果

スタートラッカー (STT : Star Tracking Telescope)は、恒星配置を撮像することによりSTTそれ自体が天球上のどの方向を向いているかを精密に検出する特殊な宇宙望遠鏡。STTは衛星構体に厳格に固定されているので結果としてその方位は、衛星本体の天球座標空間における姿勢を示す基本情報として扱えます。ほとんどの宇宙望遠鏡はミッション用だが、STTは衛星バスシステムの一部をなす航法装置です。

  • 開発の背景、課題

    このSTTは、リモートセンシングや天文観測など、高い指向精度・姿勢安定性が求められるCubeSatから約200kgクラスまでの衛星向けに開発されました。初号機は東京科学大学(当時は東京工業大学)の「ひばり衛星」に搭載され、このSTTは、2021年から現在(2025年)まで当初の機能を保って正常に動作しています。

  • 特徴
    • ・手のひらサイズのコンパクト設計、低電力、高精度。
    • ・軌道上実証済みの秒角精度のSTT (このクラスとして世界最高水準)。
    • ・特殊なフード設計、光学設計の組み合わせにより太陽/地球回避角が小さく、衛星バスに対するレイアウトの柔軟性が高い。
    • ・合理的な制御コマンドシステムを開発、実装。

    宇宙望遠鏡に採用される光センサは、軌道上における放射線損傷によって常に期間劣化が生じます。本STTは、その程度や劣化回復のための基礎情報を豊富にもたらしました。

    図